私の体験からのグラフィックデザイナーの出世魚感
グラフィックデザイナーは薄給であると思う。
それは需要と供給のバランスで、くそ技術が高くてもそんなに単価は上がらないと思う。なぜなら、デザインの技術が高い人が履いて捨てるほどいるから。イラストレーターと同じでうまい人がたくさんいる。
ではなぜ、安月給で悪環境でも働くか?
私が思うに独立という目標があるから。そうすれば自分で好きな仕事だけできるし、単価も自由に設定できる。デザイン事務所とかかっこいいじゃないですか。
お笑い芸人が安月給でがんばるのも当たるとでかいから。それに似ている。会社で人脈や技術を学び、独立してウハウハが目標。それだけ、会社員時代とフリーランスもしくは経営者の立場だと収入が大きく変わると思う。
そのため40過ぎで勤め先を失うとあまり受け入れ先がない。私が初めて入ったデザイン事務所でも40くらいの先輩が、もう転職とかなったらひとりでやらんにゃいけん歳じゃけーね。と言っていた。
ペーペーデザイナー > 中堅デザイナー > エースデザイナー > フリーデザイナー > 社長デザイナー
出世というとこんな感じかと思う。もちろん右に行くほど母数は少ないので、ほかの業種に転向する感じである。
そして、今、時代は大きく変わった。今は、紙のデザイナーでも、かなり広範囲の仕事ができないといけない時代になったそうだ。先進国ナメーリカではグラフィックデザイナーの守備範囲は紙面はもちろん、プロダクトやパッケージングまで含まれるそうだ。これはひとえにツールの進化でそれらの仕事の難易度が下がったことに起因すると思われる。
さらにインターネットの登場でもはや紙のデザイナー、webのデザイナーという切り分けはなくなってきたと思われる。そんな仕事のこだわり方していたらデザイナーは生き残れないのでは?と思う。今はUIデザイナーやUXデザイナーなど、本当に多岐にわたってきた。
現在、私はいわゆるSIerみたいな会社のデザイン部分を担うチームで働いているが、デザインの仕事は主に派遣社員の方と外部ベンダーが担っている。デザイナー単体で人を抱えるには単価が釣り合わないのだ。チームのほとんどがディレクションをしていて、私はディレクション失格の烙印を押されているので、コーダーとして働いている。一昔前はデザイナーの方がコーダーより高給取りだったが、CSSの誕生やCMSの隆盛でコーディングの専門知識というものが重宝されるようになってきている感がある。
今はきっとグラフィックデザイナーというと広義過ぎて通じない世界になっているのでは、と思う。
これはいつも思っている、職業の肩書の無意味化が進んでいるためだと思われる。プロフェッショナルとはケイスケホンダですね。というのはみんな馬鹿にしていたが、私はなんとなく支持しているのだ。私はもはや、プロフェッショナルという言葉自体が古い定義になってきていると思う。
今はデザイナーの方向性は出世魚のような凝り固まった階段ではなく、自分の適性に合わせて舵を切れる時代になったと感じている。