仕事観
働き方改革である。
裁量労働制の適用範囲の拡大が一年先延ばしになったらしいが、心底ほっとした。そして、残念ですという経団連の老人たちを心底気持ち悪いと思った。裁量労働制で職場の環境が良くなったと聞いたことがないからだ。
裁量労働制がゲーム制作に適用されたとき、私はゲーム業界にいた。その頃、コンシューマーゲーム業界は衰退期で大手ゲーム会社はそれまで払っていた年収をそのまま払うには無理がある時期に来ていたように思う。それまでのゲーム会社は中途で入れれば1,000万ちかい年棒だった。私は末端の末端のゲーム制作会社にいたので確か額面で月25万程度だった覚えがある。もしかしたらもっと低かったかもしれない。
それから、大手は積極的に労働裁量制を取り入れ、土日出勤や徹夜が増えたと聞いた。断ったり、手当を交渉しようにも労働裁量制を盾に押し切られたそうだ。
そして、据え置きのテレビゲームが虫の息になったとき、私の会社は倒産した。
その時から、裁量労働制やべー、と思っていた。しかし、デザイナーがすでに裁量労働制の適用範囲だった知ったのはまた別の話。
みなし残業
正直、これの本当の意味を知ったのは今回の話で裁量労働制をしっかり調べようと思った時の話だ。今まで「残業を相殺するもの」というとらえ方をしていたが実は「早く帰った時間を補填するもの」だそうだ。しかし、この時点で矛盾をいくつも感じる。では裁量労働制でなぜ定時があるとか、なぜ、補填する必要があるとか。きっと私があまり調べずに終わったからだと思う。余談だが高プロ制度にも異議を唱える意見を散見した。高プロはこれの布石だったのかもしれない。
調べている中でこの記事が一番なにかグッとくるものがあった。漫画では裁量労働制の夢が描いてあり、コメントは現実で埋まっている。
働かせ放題と成果報酬
反対する人たちの懸念は、残業代がなくなって何時間でも働かすことができるようになることと推測できる。そしてそれは正しい。今の労働法が順守されないのだから裁量労働制のルールなんて守られるわけがない。そう考えるのか普通だ。働いている人も、短時間でたくさんの業務をさばけるスキルのある人が働く時間を短縮させたら、会社が回らないと思っているし、もし、裁量労働制が正しく運用されても、そこには厳粛な成果報酬が見えてその恐れもある気がする。少なくとも私にはある。
人生観と仕事観
仕事の話は万能と思っている。共通項というか。とりあえず仕事の話をすれば間がもつと思っている。人の仕事の話とか、本当はこうしたいとかいう話はすごい興味があるし、多くの人が働いているからだ。
先日、フミコさんのブログを読んだ。
基本的にはアグリーだが、部分的にはあれだ、その、アグリーしかねますだ。アグリーという言葉を使う人はそういうらしい。何がかといえば人生と仕事は切り離して考えたいが、仕事というものが占める時間が大きすぎる。後、仕事を辞めた人は解放される事が多い。具体的には、通勤、時間的束縛、会社でのノルマ的なもの。そのかわり、リスクや雑務も背負う、仕事がなくなるリスク、経理作業全般、社会的信用が低くなる。
いや、これでは全面的にアグリーしていることになる。なんか引っ掛かったところは「カッコよく生きているように見せるためには働いていなければならぬ的な発想が生まれたのではないか」というところ。みんな、そんなこと思っているんだろうか、という疑問だ。私がもし、BIGが当たったなら、宝くじが当たったなら、生涯年収を超えるお金が手に入ったらまずやることは仕事を辞めることだ。
うーん、でも、ここまで書いてフミコさんが書いていることも正しいのかな、という気がしてきた。プロフェッショナルとか情熱大陸とか最近好きで見ているセブンルールとか、仕事に情熱を燃やし、仕事に誇りをもって実績をあげる、もしくは楽しくやっている人を取り上げる番組が人気なのも事実だ。
ここで間が空く
ここまで書いていて、寝かしといた。フミラーとしてはどうもあのブログを読んで「アグリーしかねます」の部分が難しく感じた。私がいいたかったのは、いわゆる脱サラをして、フリーランスになったら楽しいこともあるよ。ということだ。それは、私が2年間フリーランスをして感じたことだ。明らかにサラリーマンより楽しかった。私にとっては。フミコさんはおそらくサラリーマンとして超有能である。サラリーマンであることにそこまで苦痛を感じない人間と、感じる人間がいるのだ。
何故、再就職したのか
何故、そんなに楽しかったフリーランスをやめて会社にまた就職したのか。単純に収入に不安を感じたのである。私がフリーランスをやっていたのは、ちょうど南アフリカワールドカップをやっていたときで、史上最高にサッカーの試合を見た。オランダVSスペイン。日本代表も予選突破して熱い大会だった。私は独り身で気楽なもので、入金管理もかもかなり疎かになっていて、果たして自分がどれだけお金を得ているかはっきりわからない状態だった。ただ、肌感として1年目より仕事をしてない感じがあった。仕事はよほど変なクライアント以外は選ばずやっていたので、仕事が減っていると思った。これは、続けていくの無理があるかもなー、と思い再就職した。確定申告でわかったが、結果、1年目より収入は多かった。どないやねん。と思ったが、就職して今は正解だったのかな、と思っている。技術が目まぐるしく変わる世界で会社という傘に助けられた部分も今まで沢山あると思うからだ。
裁量労働制になると?
裁量労働制が正しく運用されると、総フリーランスの世界に近くなると感じている。シビアな話、それくらい実力によって差が出ると思う。それであれば、副業を認めるべきだという話の流れになり、実力のある人は会社の仕事を早く切り上げて、個人で更にいい仕事をしてしまい、格差がより広がるのではないか、と弱者の私は思ってしまう。
正しく運用できないことは間違いない
ただ、今の日本の状況、論調を見ると正しく運用できるわけがないとは思う。今回話題になったのは、今一番の売り手市場のエンジニアに裁量労働制を適用するという話した。少子高齢化、人材育成の失敗のつけだ。仕事はうんざりするほどあるらしい。
更に、残業の上限を定め、罰則を設ける法案に中小企業は適用外にしないと潰れるからだめだと声高に叫ぶ議員もいる。
出来ないことを出来ない状態のままやりましょうというのは良くないですわね。
全然まとまらなかった。